妻が単身赴任することが正式に決まってから3ヶ月くらい。
我が家では、いつ息子たちに伝えるか、どういう準備が必要か、どんな生活サイクルになるのか、といった靄にかかったような見えないイメージをなんとか作ろうと必死でいた。
相変わらず生活サイクルに関しては明確なイメージはできていない。たぶん、始まるまでできないだろう。これはもう、行き当たりばったりでベストなリアクションを心がけていくしかないと考えている。
僕が一番悩んでいたのが「どう息子たちに伝えるか」だ。
子供たちの心をできるだけ寂しくしたくない
まだ息子たちは5歳と3歳である。年少と年長である。まだまだまだまだ幼い。大人の感覚で接してはいけない。
長男は比較的お父さん子でもあるが、次男はべったりお母さん子だったりするので、どう彼らに打ち明けようか色々と悩んだ。
事実を曲げて伝えるのは、それは本望ではない。出来るだけ事実を事実のまま、噛み砕いて彼らが消化できる言葉にして渡す必要がある。
「お母さんは、いついつからお休みの日(週末)しかお家に帰ってこなくなるよ」という事実を伝えるだけでは、彼らは悲しい気持ちだけで受け止めてしまう。
「これから悲しいこと、寂しい時間が始まるんだ」
そう感じさせることは出来るだけ避けたい。事実、避けられないけど軽減させてあげたい。
僕はそのために、出来るだけ楽しい要素を盛り込んでイメージさせてみた。
どういうことかというと、ただ事実を伝えるだけでは悲しい、寂しいで終わってしまうのだが、そこに以下のポイントを追加してみたのだ。
- テレビ電話(Facetime)でいつでも電話できるよ
- 夕ご飯食べ終わったらたまには3人でコンビニにアイス買いに行こうね
- 3人で色々とやらなきゃいけないから、二人もたくさんお手伝いしてね
こんな具合にトッピングしてみた。
テレビ電話(Facetime)でいつでも電話できるよ
これはもともと用意するつもりではいた。
あまり活用されていない古い世代のiPad miniをリストアして、必要のないアプリは一切排除し、入っているのはScratch Jr. 、ビスケット、Facetime だけになっている。
消せないアプリもあるので、そういうものは全てフォルダにまとめておく。「さわっちゃだめ」というフォルダ名で。
電話帳に登録してあるのは、僕と妻と祖母である。電話帳はiCloudで同期すると全て入ってしまって何かあると面倒なので、そういった同期も一切していない。新しく電話帳に3人だけ追加した。
そして、Facetimeの使い方を教えた。「いつもで好きな時にかけていいよ」と子供たちには伝える。
こうしておくことで「会えない」が少しでも軽減されればいいなと思っている。
夕ご飯食べ終わったらたまには3人でコンビニにアイス買いに行こうね
これは女性よりも男性の方が理解してもらえるかもしれないが、こそこそっと隠れて悪いことをするのが、やはり楽しかったりするのだ。
お母さんが家にいないから、男3人でちょっと悪いことをする(=コンビニアイスを食べること)。そういうワクワクもトッピングして。そして「お母さんには内緒な」と伝えることで、彼らは隠そう隠そうとする。
うちの子供たちは全然嘘が上手にできないので「言っちゃダメ」というと言いたくなってしまって、その気持ちを抑えるのが大変な状況になる。それを見ているのが楽しい。
そういった楽しみが、悲しいだけ、寂しいだけの生活に少しだけ違う味をもたらしてくれるかもしれない。
3人で色々とやらないといけないから、二人もたくさんお手伝いしてね
うちの子供達は、いつも基本的にお手伝いしたがり。なんでもやりたがる。
僕が毎日晩御飯を作っているところに来ては、何かしら手伝えるもの、手伝いたいものを物色してはチャレンジしようとしてくる。
そういう時に限って急いでいたり、ばたばたしていたりするのだが、これからはそういうタイミングであろうとも手を出させてあげようと思う。
毎日の保育所の準備も自分たちでやらなければならないし、ご飯の支度だって手伝わないといけない。手伝えることはたくさん出てくるはず。
そういった部分と、彼らのやりたいやりたいという気持ちのニーズが合致合えば、寂しい・悲しいと思う時間も少なくなったり、まぎれたりするのではないかなと考えた。
思いの外、長男が悲しがった
これは想定外だった。
どちらかというと僕を選ぶことが多い長男だったが、やはり年長さんともなると、ことの内容をちゃんと理解できているみたいで、寂しさも悲しさも弟より大きいようだ。
話をしたときは、転がって泣いていた。
そして、そのあとお風呂で長男は僕に言ってきた。
誰が(単身赴任に行っても)良いって言ったの?
誰が(お母さんを単身赴任に)行けって言ったの?
この2つは、彼には珍しく強い口調で問い詰められた。僕は事実を言うしかないので、「誰かが良いというものではないんだよ。」「お仕事のところで決まったんだよ。それをお母さんも良いよって言ったんだよ」と伝えました。
彼らに伝えてもう直ぐ1週間が経つが、まだ悲しそうな顔をするときがある。
刻一刻と近く日
カレンダーにはいつからこの生活が始まるのか記してある。
これを毎日、長男は見て過ごしている。毎日、近づいていることに本人も気づいている。
もうやるしかない。やれることをやるしかない。なるようになるしかない。
ただ僕は最善を尽くして、子供たちが少しでも悲しいや寂しい以外に得られるものが生まれるように、日々工夫しながら終わりの決まっている単身赴任終了の日を待つしかない。